日本に於いて格安航空会社(LCC:Low Cost Carrier)が、本格的に運行を始まり、今年(2012年)はLCC元年である。
LCCとは、既存のエアライン(FSA:Full Service Airline)の半額近く以下の料金で搭乗可能な航空会社である。飛行時間にも特徴があり、長くても4時間までの中距離あるいは近距離を飛ぶ路線が中心となる。東南アジアや欧州では、旅行客を中心に広まっている。
そんな中、日本でもLCCが運行し始めている。
まず、関西国際空港を拠点にANA(全日本空輸)が出資したピーチ・アビエーションが3月1日に日本で本格就航した。更に今年の夏、JAL(日本航空)が出資したジェットスター・ジャパンとANAの子会社のエアアジア・ジャパンが国内線を中心に運行し始める予定である。
LCC各社とも安全面以外ではコスト削減を徹底しているのは知られていることだが、低価格を実現できる理由として、次のものが挙げられる。
- 使用する旅客機の機種を1種類
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これにより、整備費や乗務員の訓練、予約システム(同じ座席配置)を効率良く行うことができる。
ちなみに、旅客機のパイロットは機種毎に国家資格の免許を取らなければならなく、試験を受けるための訓練費など相当な費用が掛かる。1つの免許を取るのに一人当たりなんと億単位の費用が掛かっているようだ。なので、機種を1つにしておけば免許が1つですみ、大きなコスト削減になる。 - 短、中距離での運行頻度を向上
- 機材の減価償却費、空港地上業務の人員・設備は固定費なので、1つの機材で運行回数が多いほど、ユニットコスト(1座席を1km飛ぶための費用)を抑えることができる。
- 機内サービスを省略
- 食事やドリンクは有料である。これにより、費用だったものが収益に変えることができるだけでなく、社内清掃も楽になり空港での折り返し時間の短縮にも繋がる。
- チケットのネット販売
- 自社サイトの空席状況などから臨機応変に価格を決められる。また、キャンペーン価格の宣伝もし易い。
- 第2空港を利用
- 着陸料が安く、大都市にも近い。また、後発でもカウンターや発着枠を取り易い。
LCCの登場は凄く魅力的である。各社とも安全面でコストをけちることはないと信じつつも、私はどうしても安全面が気になってしまう。
これからどんどん利用者数も拡大して行くだろうから、安全面がコストカットの対象にはなることはないと思う。しかし、将来利用者数が縮小しだし、かつライバルとの競争が更に激化していったら、いつのまにか安全面がおろそかになっていたと決して起きないと言えるだろうか?
先日(4月29日)関越自動車道で、7人の死亡を出した低料金の高速バスの惨事のことがよぎる。大事故になって初めておそまつな体制が明らかになるようでは、事故に巻き込まれた方やその家族はたまったもんじゃない。
ピーチ初号機が関西国際空港に到着