現在、港フェスタ金沢2017のイベントの一環として、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「かが」が、石川県の金沢港に寄港している。7月14日から4日間停泊する予定で、15日が唯一、一般人が乗艦可能な日であったので、その日、乗艦するため朝早くに出かけた。
混み合う駐車場
乗艦希望者が多く集まることが予想されていたので(海上自衛隊発表の実際の見学者数は、15,052人)、埠頭近辺の臨時駐車場には駐車できないだろうと判断し、最初から埠頭から離れた4箇所の駐車場(シャトルバス運行)の1つに向かった。乗艦開始予定時刻の45分前に目的の駐車場に着いたものの、駐車場の入口にいた警備員が、満車の紙を掲げている状態だった。
別の駐車場に向かう前に、警備員に声を掛けてみたところ、以外にも「埠頭の臨時駐車場がまだ空いている。」との情報を得て、結局最も駐車困難と思っていた埠頭の臨時駐車場に駐車することができた。私のように最初から埠頭の臨時駐車場を敬遠した見学者が多くいたようだ。
埠頭臨時駐車場に着いた時点で、乗艦希望者の長い行列がこの駐車場に接する道路まで伸びていた。列に並んでいると、離れた駐車場から歩いて来た人の話声が聞こえ、「シャトルバスが混んでいて、多くはバスに乗らず歩いている。」とのことだった。
護衛艦「かが」の解説
艦名の「かが」は、日本の令制国(旧国)の中で最後に独立した「加賀国」に由来している。 加賀国が由来している艦艇は、護衛艦「かが」以外にも、かつて旧海軍の空母「加賀」※1が存在していたので、艦艇としては2代目となる。
護衛艦「かが」は、2015年8月に進水し、2017年3月から就役している海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)であり、いずも型護衛艦※2の2番艦である。また、海上自衛隊のヘリ空母(空母のような広い甲板を持つ海自の護衛艦)は、ひゅうが型の「ひゅうが」と「いせ」、いずも型の「いづも」と当「かが」で、4艦となる。
- 基本排出量:19,500トン
- 全長:248.0m
- 全幅:38.0m
- 速力:30ノット
- 搭載機:哨戒及び輸送ヘリコプター最大14機
- 備考:最大5機のヘリコプターが同時離着陸が可能で、またオスプレイの離着陸も可能
見学の感想
- 金沢港のイベントに参加するのは今回が初めてだったので駐車場の混み具合が良く分からず向かったが、今後金沢港で催されるイベントに参加することがあれば、今回の経験が大いに参考になると感じた。
- これまで見た船で一番大きかったのは、学生時代に海外へ旅立つ友達を横浜港で見送った時の船だった。今回、駐車場を出ると停泊中の馬鹿でかい「かが」が否応なしに目に止まり、学生の時に見た船とは比べものにならない圧倒的な存在感があった。
- 格納庫と甲板を繋ぐエレベーターはビルのフロアー丸ごと動く感じで、振動が殆どなく、スムーズな動作で一度に多くの見学者を運んでいる姿に感動した。エレベーターに配置されていた自衛官は、重量制限を気にする気配もなく、エレベーターに乗りたい人がいればお構いなしに乗せていたが、一般のエレベーターのように重量オーバーのブザーが鳴ることはなかった。エレベーターのスペックを調べていないが、これならVTOL(垂直離着陸)可能なF-35B※3(全長15.61m、全幅10.67m、空虚重量14.5t、最大離陸重量27t)を載せても、物理的に何の問題ないように思えた。
- F-35A(米空軍向け)
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通常離着陸(CTOL:Conventional TakeOff and Landing:シートール)型であり、長い滑走路を持った陸用基地で運用。
ちなみに、航空自衛隊が導入したF-35は、このA型である。 - F-35B(海兵隊向け)
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短距離離陸垂直着陸(STOVL:Short TakeOff/Vertical Landing:ストーヴル)型であり、滑走路のない陸上からでも、あるいはカタパルト(航空機が短い滑走で離陸できるように、航空機外部から力を加えて加速させる装置)を持たない狭い甲板からでも運用可能。
ちなみに、F-35Bは垂直離着も可能であり、垂直離着陸(VTOL:Vertical TakeOff and Landing:ヴィトール)型とも言える。ただ、垂直離陸を行うと大量の燃料を消費すること等から、通常は離陸時に短距離の滑走を行い着陸時に垂直着陸を行っている。このように一般的には、STOVL型とVTOL型の異なる機種が存在するのでなく、VTOL型が運用面に於いて離陸時に短距離の滑走を行っているにすぎない。
- F-35C(米海軍向け)
- カタパルトを備えた正規空母でしか運用できない。着艦速度をおとすために翼面積を増やし、強制着艦の衝撃に耐える強度を持たせた設計。
なお、F-35の詳細についてはコチラを参照されたし。
その一方で、空母を重要視していた日本海軍は、戦艦「天城」を空母に改造していたが、関東大震災(1923年[大正12年])の損害より改造不可能となり、その代艦として空母「加賀」が誕生することになる。
なお、ワシントン会議の米国の目的は、米国・英国・日本の軍艦建造競争を終わらせ、自国の財政負担を軽減する以外にも、東アジアに於ける日本の膨張を抑えることにあった。一方、日本が条約を受け入れた理由の1つは、日本も軍事費が重い負担になっていたからで、条約前の軍事費が国家歳出の約5割であった。
真珠湾攻撃(1941年[昭和16年])にも参加し、ミッドウェー海戦(1942年[昭和17年])で米軍の艦上爆撃機による急降下爆撃が原因で、大爆発し沈没した。1999年(平成11年)に米国の深海調査会社ノースティコスが沈没した「加賀」をミッドウェー島沖合の深海5,200mで発見している。
なお、空母「加賀」も1930年(昭和5年)から何度か石川県の金石沖に来ている(船体が大き過ぎて金石港で停泊できず)。
海上自衛隊が運用するヘリコプター搭載護衛艦に於いて、先行して配備されているひゅうが型を基に大型化し、多用途性及び航空運用機能を強化したものである。
ひゅうが型は単艦での戦闘能力を持っているが、いずも型は艦自体の戦闘能力は低く抑え、ヘリコプター運用に重点を置いている。単艦では運用せず、護衛艦(e.g. イージス艦)を伴った艦隊としての運用を前提としている。